2007年8月8日水曜日

ご存じですか? 大縣神社の八ッ八祭

今日8月8日は、8つになる子の厄払いで、当日は親戚や近所へ餅を8個配ったり、お参りして子どもの成長を祈る日です。



子どもが数え年で8歳になると「やつはちがつ」と言って、神社にお参りする風習があります。犬山では、特に楽田地区の大縣神社で古くから行われています。男女ともに行い、無事に幼児期を成長してきた感謝と今後の成長を祈るものです。




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お参りは、数え年で八歳の八月八日に行われます。お宮でお札などを授かり、本殿でご祈祷を受けたりします。遠方からも多くの参拝客が訪れます。特別に着飾ることはありませんが、一升餅を作って、お供えをしました。



大縣神社の八ッ八祭は、子供の厄除け祭として古くから行われてきました。他の地区では、八つ八月をあまりしませんでしたが、戦後犬山城の下にある針綱神社などで行われるようになりました。



大縣神社では、前日の7日は疫神祭、今日は本祭りが行われ、参拝客が多く訪れます。かつては、露店も多く出て盛大に盆踊りなどが行われ、多くの人出でにぎわいましたが、最近は静かなお祭りになっていたようです。かつては、子どもにとって、夏休みの大きな楽しみの一つでもありました。



また、境内に設けられた茅の輪を本殿に向かって、左から∞の字を描くようにくぐって、夏病除祈願をする輪くぐりの神事があります。





この輪くぐりには、次のようないわれがあります。






この神事は、『備後風土記』に書かれた素戔鳴尊(スサノオノミコト)の神話がもとになっています。

素戔鳴尊が、旅先の村で一夜の宿を求めました。弟の巨旦将来は裕福な暮らしぶりでしたが、冷たく宿を拒みました。それに対し、兄の蘇民将来は、貧しい暮らしにもかかわらず、茅のふとんと粟の食事で暖かくもてなしました。素戔鳴尊は、蘇民将来に「近く、この村で疫病が流行るだろう。その時、茅の輪を腰につけると免れる。」と教えました。しばらくして、村で疫病が流行しましたが、蘇民将来の家族だけは、茅の輪を腰にさげていたので、助かりました。



このようないわれから、茅で作った輪は、夏越しのはらいとも言われ、お宮では大きな茅の輪を作って輪くぐりが行われます。




もちろん私も、家族の健康と幸せを祈りつつ、何十年ぶりかで輪くぐりをしてきました。改めて、家族のことを考えるいい機会になりました。

参考文献:犬山市史 別巻 文化財、民俗 603頁~604頁、691頁